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大人のバイオリン、再始動

  • 執筆者の写真: 有希子 戸部
    有希子 戸部
  • 12月3日
  • 読了時間: 3分

更新日:12月10日

去年の演奏会の舞台裏(この時はビオラでした)
去年の演奏会の舞台裏(この時はビオラでした)

私がバイオリンを始めたのは、大学2年の終わりごろでした。


それまではピアノやギター、声楽を少し齧った程度。楽譜もたどたどしくしか読めない“完全な初心者”でしたが、思い切ってそれまで所属していたテニス部を飛び出し、医学部管弦楽団に入部したのが始まりです。


バイオリンというと、幼少期から英才教育で…というイメージが強いですよね。 にもかかわらず、私が楽器と出会ったのは、すっかり大人になった20歳のときでした。


音が出るまでは早いものの、そこからがなかなか伸び悩む厳しい世界。それでも練習を重ねるうちに、少しずつ周囲の音に混ざれるようになり、仲間と音を合わせる楽しさに夢中になりました。 大学卒業後も、社会人として細々と活動を続けていましたが、出産を機にレッスンに通う時間はなくなり、自己流でなんとかアマチュアオーケストラに参加する日々が続いていました。


転機が訪れたのは、今年のことです。 4歳からバイオリンを習っていた上の子が、気づけば19歳。大学生活が忙しくなり、これまでのように下の子と同じ時間帯にレッスンを受けることが難しくなりました。


そのタイミングで、ふと心の奥のスイッチが静かに入ったのです。 「あ、もしかして私がレッスンに戻るなら、今なのかもしれない…」

今年5月、ついに私自身も子どもたちがお世話になっている先生のもと、「大人のスズキ」に入会し、レッスンを再開しました。 スズキ・メソードの教本を第1巻の最初からやり直す、まさかの完全リスタートです。


久しぶりに先生の前で楽器を構えた瞬間、懐かしさと緊張がないまぜになりました。 腕の使い方、弓の運び…。自己流で弾くのとは違い、先生の前できちんと弾くという体験はあまりに久々で、毎回緊張のあまり汗だくになっていました(笑)。


それでも、きちんと指導を受けるとやはり違うものです。20年間変わらなかった音が、するすると変わっていくのが自分でも分かりました。


そこからの数か月は、怒涛のスケジュールでした。

  • 春:前期初等科 ゴセック《ガボット》の卒業録音

  • 夏:初等科 バッハ《ブーレ》の録音

  • 11月:前期中等科 ヴィヴァルディ《協奏曲イ短調》第1楽章の録音


クリニックの開業準備や診療のスタートで慌ただしい一年でしたが、レッスンでバイオリンを弾く時間は、私にとって最高のリフレッシュになっていました。


結果的に今年は、3科同時卒業を達成できました。


録音の日は毎回緊張で手が震え、やっぱり汗だく。何度も撮り直しましたが、最後まで弾ききれた時には「私にもできたんだなあ」という、なんとも言えない満足感と達成感がありました。


長年の付き添いで培った「耳」のおかげで、理想の音や先生の指示が20年前よりも鮮明に頭に入ってくるのも、大人になって再開して良かったことの一つです。


来年は、中等科の卒業を目標に、少しずつ練習を重ねていけたらと思います。


ゆっくりではありますが、こうして“続けていくこと”そのものが、私にとってとても大切な時間になっています。 下手の横好きですが、いつも音楽は私の力になっています。

 
 
 

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