診療所は“儲けすぎ”?――現場から見える本当の話
- 有希子 戸部
- 2025年11月14日
- 読了時間: 2分
最近、財務省が「診療所は収益が高すぎる」といった趣旨の発言や資料を出しているというニュースが話題になっています。
しかし、実際に診療所を運営している立場からすると、その印象は正直かなり違います。 というわけで、少し真面目な話を。。。
■ 収入はあっても、手元に残らない構造
「診療所は儲かっている」と言われがちですが、実際は固定費の割合が非常に高いため、収入がそのまま利益になるわけではありません。
家賃・建物維持費
立地を選ばないと患者さんが来られません。好立地は賃料も高く、郊外でも駐車場や建物維持費が重くのしかかります。
スタッフの給与
医療は人の力で成り立ちます。受付、事務などのスタッフなど複数名が必要で、最低限の給与水準を守るとかなりの固定費になります。
医療機器・システム費用
電子カルテ、レントゲン、検査機器……購入費だけでなく、保守料も毎月かかります。
光熱費の高騰
医療機関は電気の使用量が多く、最近の高騰で影響は大きいです。
こうした固定費は毎月必ず発生しますし、患者数が少ない日でも支出は変わりません。
そのため、収入があるように見えても、実際の手残りはわずかというケースは珍しくありません。
■ 「利益率が高い」という数字のマジック
財務省が示す統計には、いくつか“現場とのズレ”があります。
医療法人の数字には院長の給与が費用に計上されない
=利益が多いように見える
診療所は規模が小さいため、一つの機器更新で数字が大きく変動
開業準備の借入返済は利益計算に反映されない
統計上の「利益が高い」は、必ずしも“院長がたくさん手取りを得ている”ことを意味しないのです。
■ 経営が厳しいと、地域医療が立ち行かない
診療所は、患者さんが気軽に相談できる地域医療の窓口です。
しかし、負担ばかりが増え、収益は抑えられるという状況が続くと、小規模クリニックほど継続が難しくなります。
その結果、
かかりつけ医が減る
軽症の患者さんが病院に集中して混雑
地域の医療アクセスが低下
といった悪循環が起きかねません。
■ 現場の声がもっと届く仕組みを
医療費の議論は必要ですが、その際には実際の診療所の経営構造や地域医療の役割が正しく伝わることが欠かせません。
数字だけでは見えない現場の実情が、もう少し丁寧に扱われることを願っています。


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